所得再分配....?2017年10月21日 14:28

所得再分配とはどういう政策でしょうか。

 私は経済学者ではありません。学問的な正確性を度外視して、私の理解を述べます。

 皆さん、仕事をして、カネを稼ぎますよね。もし税金(広い意味で)がなかったら!

 毎月の給料明細を見ながら、「公」のために取られるお金の大きさに、いつもため息が出ます。税金フリーの天国があれば、もっと遊べるし、物が買えるのに。もっとも、私は一層、投資に走るだろうと思いますが。 (^◇^;)

 国が、警察のみ用意して、最低限、殺人や窃盗などの犯罪のみ取り締まり、経済政策としては、完全に自由にしたら。

 完全な自由競争の社会です。弱肉強食の資本主義社会に起こったこと。

 社会は一部の成功者と多くの失敗者に分かれました。ごく一部のもの凄い大金持ちと、裕福ではない多くの庶民、それに生活困窮者に分裂したのです。

 そして、完全に自由な資本主義は暴走を始め、第二次世界大戦前のバブル崩壊が世界大恐慌を産み出しました。

 その結果、経済が停滞し、夥しい失業者と大量の生活困窮者を生じました。そのときアメリカ合衆国大統領ルーズベルトがしたことは、公共投資により、国が企業に大規模な土木工事を発注し、企業が人を雇うように仕向けた。そうして雇用を産み出すことでした。

 完全に自由な資本主義は失敗する。

 そこで、完全な自由に委ねるのではなく、国が、社会的弱者を保護するための法規制を行い、また、公共投資等によって、計画的に経済をコントロールする。現在の先進的な地域の資本主義は、いずれの国でも、この意味で修正されています。

 修正資本主義です。社会科の教科書に載っていましたね。

 戦後の日本もそうです。

 敗戦後、自民党の長期政権下、所得再分配政策が取られました。

 累進課税によって、所得の多い層からより多くの税金を取って、社会保障や福祉政策のための費用に充てる。年金制度を整備して、働けなくなった老後も安心して暮らせるようにする。働ける世代が、皆でお金を出し合って、この国に住む全ての人の面倒を見てあげる。

 現在、誰も、この政策を廃棄するべきだ。完全な自由経済主義によるべきだなんて言う人は居ませんよね。日本はヨーロッパ型の、ゆりかごから墓場までの、社会保障制度の完備した国を目指した。

 アメリカは少し事情が違うみたいです。自己の才覚によって一攫千金を夢見る、アメリカンドリームが健在で、自由競争社会であることが、社会の根本的価値観となっているようです。むしろ格差を厭わない。

 医療保険についての国民皆保険制度もない国でした。基本的に医療保険は民間の保険会社から購入するので、普通の生活を送っている人達、ブルーカラーの人達が買える保険は、保険金のもらえる疾病の範囲が狭いものしかありません。そこで、保険会社との保険範囲を巡る紛争が絶えないのです。

 そこに登場したのが、オバマケアでした。日本の健康保険制度とは異なるのですが、国民皆保険制度の導入です。ところが、これに対して、税金の使い途としておかしいとして、自由経済の信奉者がティー・パーティーという運動を起こしました。現在は、トランプ大統領がオバマケアを廃止しようとしています。

 こんな熾烈な競争社会は、日本人には合わない、と私は思います。

 もっとも、アメリカにしても、社会保障制度は存在するので、国のお金の使い方、あるいは配分方法の相違であり、所得再分配の方策は別途存在するとはいえるでしょう。

 高度経済成長を達成した日本は、時としてベビーブームに沸き、多くの若者、働く世代が稼ぐお金を、少数の、老後を迎えた人々に回して、うまくやっていました。

 ところが、バブルがはじけて経済が停滞した後、少子高齢化社会を迎え、人口減少社会が到来すると、寸胴型の人口構成になっていて、国の財政がどんどん赤字になっていくことが問題視されるようになりました。

 足らない分を赤字国債発行で賄うというのは、借金を借金で返す火の車だということです。

 国が破産して、社会保障制度や年金制度が破綻する! 社会不安を惹起し、いよいよ消費も冷え込んでしまいます。

 これを何とかしようとして、社会保障支出をカットし、年金額も減らして、消費税を上げて・・・。行政改革によって、国の支出全般を少しでも減らして、と。それでも所得再分配政策を止めようという議論はどこからも生じません。

 でも何だかうまくいってない。

 戦後最長の好景気だ。株価が上がっている。

 株価が上がるのは当然です。企業の内部留保が大きくなると、会社の資産価値あがります。これを全体の発行済み株式の数で割ったものが、株価の基礎となるからです。

 将来の不安もあるし、今の生活から、満足感が得られない。好景気の実感が湧かない。

 多くのお父さん・お母さんは、住宅ローンと教育ローンの二重のローンを抱えて、残業だ、パートだと、懸命に働いている。子供を大学にやるために!
子供の教育費用が大変だ。小学校から、塾に通わせ、高校に入ると授業料の他に、予備校に行かせて、大学に入ったとなると、私立では文系で年間100万円、4年で400万円、理系だと、年間200万円、4年で800万円が相場かな。
専門学校に行っても2年間ないし3年間、同じようにカネがいる。他の地方で下宿させるとなると、最低でも月6万円を下らない仕送りがいるでしょう。6×12=72(万円)。6万だと、アパート代ぐらいにしかならないしね。後は、子供のバイトに任せて、自分たちが生活を切り詰めてでも、なんとかしよう! 

 現在の日本の多くの中間層?の実感ではないでしょうか。

 これを聞いたら、若い人が、もう子供なんかいらない、と言うでしょう。

 そもそも若い人達一般の生活はどうでしょう。いっぱいいっぱい?
所帯を持つなんて、考えられない、と言うかもしれません。

 子供の貧困問題、若者の貧困問題、高齢者貧困問題。貧困問題が拡大していることが社会問題となっています。

 その一方で、確かに、極めて裕福な一部の人達がある。

 こういうのを格差というのです。

 経済情勢が高度経済成長期とはまるで異なります。少子高齢化社会です。従って、その主張は、その構造を何とか改めて、お金の使い途を考えながら、あの頃を取り戻そうということではないでしょうか。格差の少ない、中間層の分厚い社会にするということでしょう。

 もっともどうできるか、今後、政府の政策を見守って行きたいと思います。

  私が重要だと思うのは、介護士や保育士の待遇改善です。

 これらの職種は、需要が多いのに、供給が足りない。端的に言えば、求人があっても、給料が安いのに仕事がきついから、人が来ない。介護施設や保育所を増やしても、人が居なけれどうにもなりません。

 「人」、人材への投資が、結果的に、若者の雇用を生み、その他の人々の介護や子育て負担の軽減に通じるし、更に、若者が子供をもうける意欲に通じる可能性を秘めているように思えます。

 また、イノベーションを促すためのベンチャー支援や、高等教育を含めた教育の無償化、大学・研究機関への支援により社会還元を図ることなど、これも人への投資です。

 単純労働を含めて、外国からの移民を計画的に受け入れるとすると、公民教育や同化定着のためのコストがかかります。しかし、これも不可避的な投資と考えることも可能でしょう。

 公共投資=箱物への投資(ハードな公共投資)という観念を変えて、人への公共投資(ソフトな公共投資)という考え方があっても良いのではないでしょうか。長い目でその効果を待つべきでしょう。

結論
1,主要国の資本主義は修正資本主義であり、何らかの所得再分配政策を実施している。
2,戦後日本は所得再分配政策の下で、社会福祉の充実した国家を目指した。このことが前提であるのは、主要政党で変わらない。リベラルも保守も同じだ。
3,公のお金の徴収方法と再分配の方法については、対立がある。
4,ハードな公共投資からソフトな公共投資へ。

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