国際協調主義は日本の長期的利益に適う2017年10月28日 12:33

筆者の考える国家連合のあり方を述べる前に、幾つかの前提を置いておく必要があります。正確に理解してもらいたいからです。

第一に、筆者は、マルクス・レーニン主義その他の社会主義者ではありません。

社会主義の現代的な思想的発展も余り知らないのですが(サルトルを少しかじった程度)、基本的な考え方は分かります。

そのユートピアとしての理想は理解しますが、現実の社会主義国家はいずれも失敗しました。一党独裁の段階で必ず失敗するのです。

相対主義者という語があり得るとして、絶対の相対主義者です。ファシズムも社会主義も、革命の語で全てが正当化されるとすれば(同一に扱われると心外であるとする向きもあると思いますが)、いずれも絶対主義です。筆者は明白にこれらと決別します。

そのときの市民の相対的多数が政治を決定する民主主義を信奉します。この体制を武力により転覆させる者に対しては、武力により抵抗するべきだと考えています(但し、私という個としては、軍隊ではなく、市民の蜂起・レジスタンスとして)。従って、絶対の相対主義です。

以上を前提して下さい。

次に、現在の日本を取り巻く国際環境を考えてみましょう。

三つの軍事大国に取り囲まれています。第一にアメリカ、そして、中国とロシアです(日本自体、既に世界有数の軍事大国ですが)。

中国の現在の体制は、社会主義市場経済です。要するに、政治体制として、中国共産党の一党独裁であり、これに資本主義に基づく市場経済が組み合わされている国です。政治的には実質的に共産党が全てを決定し、三権分立と言っても名ばかりですね。法の支配も形式的であると言えます。結局のところで、法が政治を縛ることができない。官僚主義的で賄賂が横行しているので、習近平主席の下で、その掃討を企図した大規模な取り締まりがなされたとされています。

法の発展段階からみると、その資本主義は近代日本の第一次高度経済成長期ぐらいではないでしょうか。自由な経済活動の暴走を抑制する仕組みが十分あると思えません。

それでも世界第二位の経済大国となりました。再び文化大革命のような政治の揺り戻しがない限り、今後も、経済発展が続くと予想されます。広大な国土と巨大な人口、豊富な資源と良質な労働力に恵まれた国です。世界の工場であると共に最大規模の市場です。

この国が、東アジアから中央アジアにかけての、少なくとも経済的な覇権を握りつつあります。領土領域に関する政治的主張は覇権主義とも見えます。

このような、核保有国である軍事大国がすぐ隣にあります。少なくとも当面、日本の大きな懸念材料に違いありません。

ロシアも領土領域的な拡張主義をとっていることは、クリミア半島の割譲をみても分かります。

しかし、日本にとっての最大の懸念は、アメリカ合衆国です。

テロによる世界貿易センタービルの崩落とその後の展開を振り返りましょう。

星条旗のはためく画像の前に、ブッシュ大統領が仁王立ちし、クルセイド!と叫ぶとき、筆者は鳥肌が立ちました。

無意味にイラク・フセイン政権を打ち倒し、世界の何処かにいるビンラディンを探し出すために、世界中で、罪もない人たちに拷問を繰り返し、遂に、(死体を)引き摺り出しましたね。裁判手続きを経ない死刑です。

こんな怖い国!

アメリカと中国とロシアの、いずれかの国を選ばざるを得ないとすると、もうアメリカしかない。

救いは、アメリカが法的合理主義の信奉者であることです。三権分立が日本以上に確立している。言論の自由な市場は実に活発に機能しているように見えます。

そこで、戦後占領時には好むと好まざるとを問わず、日本は、同盟相手としてアメリカを選び、現在に至っています。今更、止めようも無い。

日本の最大の貿易相手国ですし、お得意さんとしても、第一にアメリカとの関係を大事にするのは、現実の外交戦略として当然だと思います。

その上で、多角的・多面的な国際関係の構築に意を用いるべきであるというのが、前回の結論でした。幾つもの多角的・多面的な国家連合ないし国際協調の輪の重なる中心に、日本があるというイメージです。

以上を踏まえて、次回、国際協調主義と国家利益、及び国家連合について、持論を述べます。

結論
1、筆者は相対主義としての民主主義の絶対の信奉者である。
2、現実の外交戦略として、日米関係を基本にするのは当然であるが、多面的な国際関係の構築と理念が必要である。

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