戦争だから・・・2017年11月01日 16:37

あっ、だめ、だめ。そっち行っちゃダメだよ!と、絶叫する映画です。
ナチス・ドイツのホロコーストを描いた作品です。

「縞模様のパジャマの少年」

ナチス・ドイツが第二次世界大戦で何をしたかは、よく知られています。
国家が、アウシュビッツ等の収容所で、ユダヤ民族の絶滅を目指したのです。

アメリカが、ベトナム戦争で何をしたか。一部の兵士が暴走した「ソンミ村の虐殺」のような事件もありましたが、国家として、何をしたでしょう。核爆弾を使わないとしても、通常兵器でも、一瞬のうちに、辺り一面の森林地帯を焼き払うことができます。エージェント・オレンジは、直接、殺傷能力を有する訳ではないけれど、化学兵器に準じるようにも見えます。

もちろん第二次世界大戦中のヒロシマ・ナガサキがありますよね。

しかし、日本は第二次世界大戦における一方的被害者ではありません。

戦争だから・・・

交戦国の軍人を殺傷するのは当たり前です!?

南京大虐殺?諸説ありますが、日本軍がこのときに多くの民間人を犠牲にしたことは疑いを入れません。戦中に起きた、九州大学医学部の、米兵捕虜に対する人体実験もよく知られています。

戦争だから・・・

民間人の犠牲もやむを得ないし、相手国に先んじた先端的兵器開発が、一定の人道的問題を孕むとしても許される!?

戦時下における、交戦国の国際法上の義務というのがあります。民間人の犠牲を回避し、捕虜に人道的な配慮を行うことです。ジュネーブ条約に規定があります。国際人道法の領分です。現行の国際法としては、1949年に成立した条約を基本とするべきなので、日本の先の事例はこれに違反するとは言えません。しかし、その先行条約がありましたし、基本的精神は既に国際的公序として存在したと言うことは可能かもしれません。

言いたいことは、

戦争だから、何をしても肯定されると言うべきではない!ということです。

同時に、戦争になると、国が、あるいは人が、どこまでのことができたのかを、よく知っておく必要がある、ということです。

ホロコーストの映画はたくさんあります。
皆さんも、幾つか見ておくと良いと思います。
なお、筆者が最も衝撃を受けたのは、NHKドキュメンタリー「映像の世紀」(後継版もあります)です。

人が人に対して、こんなことができるなんてと、絶句し、涙が止まらなくなりました。

悼む2017年11月01日 22:33

NYの冬に 雪が降り積もると、
崩落したビルの粉塵が 積もった道路を思い出す
雪に残る足跡は あの日、駆けつけた
消防士の、粉塵に残された靴の跡
薄ぼんやりと、黄色い消防服の
まぼろしか
白い雪の上に
街灯のあかりが落ちて

下手な詩でごめんなさい。

ある日、テレビをを付けたら、緊急のニュース速報になっていて、
テレビの四角い枠の中で、NYの貿易センタービルから煙が出ていました。同時多発テロです。

「何事か、事件が起きたようです」。
アナウンサーが緊迫した様子で繰り返しています。

見ていると....

大型旅客機が、反対側からビルの真ん中当たりに突っ込みました。

筆者は、その様子をリアルタイムで目撃してしまったのです。
目が離せなくなりました。
また旅客機が衝突し、暫くして、あっという間に、二つの巨大なビルが崩落しました。付近のビルとビルの間を、もうもうとした粉塵が一気に押し寄せ、通路の人々が逃げ惑っています。・・・

崩落したビルの瓦礫の前には、家族の安否を確認しようとして、多数の写真が張り出されました。

崩落する直前まで、連絡を受けた消防隊が、ビルに残された人達を救助するために駆けつけていたのです。夫、父、兄弟である人達の名前を呼びながら、抱き合う人々がいました。

誇り高く、勇敢な戦士たち。

今、世界で起きている戦争は、国同士の戦争に限りません。一国の中で、民族同士が争い、あるいは、国家と宗教集団が「戦争」を行っています。

これまで世界大戦では、アメリカは国内が戦場となった経験がありません。そのアメリカの人々の目の前で、平和な風景が一瞬のうちに、凄惨な戦場と化したのです。

激怒したブッシュ大統領が「クルセイド」と叫んだのはこのときです。

少し前ですが、グアンタナモ強制収容所が問題になったことがありますね。キューバにある租借地としてアメリカが占領しており、そこにアメリカ軍の強制収容所が置かれています。

中東で逮捕した多数のテロ容疑者を移送して、拷問を加えているという報道がありましたね。拷問は国際法上禁止されています。もとよりアメリカ国内法上も許されていません。ところが大統領に通じる国家的、組織的な関与があったとされています。大問題に違いありません。

ただ、アメリカ政府によると、グアンタナモは、アメリカの海外領域であり国内法上の人権保障が及ばないし、犯罪者は戦争捕虜ではないので、ジュネーブ条約の適用がない、治外法権であるとしています。テロ容疑者は、国外から拉致してきたとしても、犯罪者なのです。

さすがにアメリカは法治国家です。法の論理をねじ曲げようとはしません?? もっとも拷問については、どのように言い訳しても「違法」を免れないと言うべきでしょう。

ところで、世界貿易センタービルの跡地に、何を建設するか、国際コンペが行われ、日本人の高名な建築家である安藤忠雄氏も応募していました。

同氏の提案は、跡地一帯を緑の丘陵地として、その内側に建造物を作るというものでした。そして、この地を鎮魂の場として、テロで失われた魂を永遠に悼む場所とするというものでした。

しかし、結局、選考に残ったのは、以前より巨大なビルディングの建設案でした。ああ、アメリカ人!・・・すいません。筆者は何でも類でとらえて判断することを嫌います。ジョークです。

力に対しては、より大きな力で、自然に対しては、科学で打ち勝つという発想が根底にあるように思われてなりません。

この地を、世界平和のための鎮魂の場所として、永遠に平和を願う象徴とする安藤氏の考え方に深く感銘を受けました。

亡くなった人を「悼む」という言葉には、日本人特有の感傷が含まれているように思います。筆者は、ここで誰も亡くした訳ではありませんが、戦争のために亡くなった全ての人々が痛ましく、その人々の魂を悼む場所があればと願います。

世界中のどの国が起こした戦争であれ、日本の人が加害者であり被害者であった全ての戦争で失われた全ての命を悼みます。