池田小事件のことと・・・2018年01月19日 23:03

小学校の校庭を見下ろすヘリコプターの映像が、突然テレビで放映されました。どこかの新聞社か?のヘリコプターが旋回している様子も映っています。初夏の小学校のグランドの上を、沢山の児童たちが列を作って走っています。グランドの真ん中あたりに集合しているようでした。グランドの土埃のなか、沢山の児童が制服を着て走っているので、運動会の練習なんだろうか。それにしては何か変だ。緊迫感が漂っていました。

「何か事件が、重大な事件が起きた模様です」。

いつもの番組が上述の放映に突然切り替わったのです。

大阪教育大学附属池田小学校事件というは、2001年6月8日に起きた、無差別殺人事件です。覚えておられる方も多いでしょう。

元用務員の、宅間守、元死刑囚が小学2年生と1年生の多くの児童を殺傷しました。8人の児童が亡くなり、15人が重軽傷を負った事件です。2004年9月14日に死刑が執行されました。

教室の中で、授業時間中に、先生を待っている子供たち。37才の男が、2年生と1年生の教室に入って、子供たちが椅子に座っているところを背後から、次々に出刃包丁で刺していったのです。

小さな机に、小さな椅子。お行儀よく座っていたのでしょう。

一昨年、事件から15年目の追悼式典が同小学校で催されました。そのころ、NHKで放送されたドキュメンタリー番組があります。
15年目の丁度同じ日、6月8日の放映でした。
クローズアップ現代+「傷ついても、きっと歩きだせる〜附属池田小事件15年目の“子供たち”〜」です。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3818/1.html

事件の概要も上のページで知ることができます。同じ教室で重傷を負わされた児童、助かった子供たち、幼なじみを亡くした子、成人した5人が記憶を語っています。

ある女性は、当時2年生でした。じっと教卓の下で隠れていた。

「隣の教室から聞こえてくる声」や「音」を覚えている、と述べています。

また、重傷を負った我が子から、

「今日、私死んでしまうの?」

と問いかけられた母親は、その手記で、あんな幼い子供にそんなことを言わせせてしまったと、ずいぶん後悔したと云います。

6つ7つの子どもだから、まだ何も分からないだろう、直ぐ忘れてくれるだろうと、思っていました。しかし、その辛い記憶を決して忘れることができないそうです。その経験が各人の心の傷となっているのです。

岡江昇著『宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで』

元死刑囚を精神鑑定した医師が、裁判所に提出した鑑定書をまとめたものです。このような人格の人間が、この社会には存在し得るのだということを広く知らしめること望んで、その医師が出版したそうです。
報道スクープSP 激動! 世紀の大事件 「悪の快楽」という番組で(番組名は少し曖昧です)、ある精神科医が述べていたのですが、宅間守は、「人間らしさ」を司る脳の部分に傷害があった可能性があるというのです。

筆者は、この事件のことが頭を離れません。事件直後のニュース番組です。夕方6時過ぎの番組でした。

亡くなった小学1年生の男児のことを取り上げていました。殺傷された多くが2年生の女児だったので、男児というのが珍しかった。

亡くなった子が小学校に上がる直前に、庭で、お父さんとキャッチ・ボールをしているビデオ・テープでした。まだ幼い子は、にこりともせずに、ボールを拾うとお父さんの方に投げてよこす。この子を真正面に写して、父親の声だけが聞こえていました。とてもうれしそうで、弾むような声を子どもにかけながら、ビデオに、子どもの様子を収めているようです。子が、本当ににこりともせずに、懸命に何度もボールを投げていました。真面目そうな、かわいい子どもでした。

受験のある小学校ですね。その学校に入れてあげて、大喜びの父親が、大事な子どものビデオを撮っているのです。事件が6月ですから、ビデオを撮った直ぐ後の出来事だったでしょう。

父親から、どうしても放映して欲しいと頼まれたのだと、アナウンサーが言っていました。筆者は、その画面から目を逸らすことができなくなりました。食い入るように見ていました。

話が変わりますが、シリア難民のことを以前、このブログで取り上げたことがあります。

次の記事はニューズウィーク日本版のホーム・ページに出ています。昨年の4月の記事です。
「シリアの子供たちは、何度化学兵器で殺されるのか」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7338.php

化学兵器の使用があったと考えられています。多くの民間人が犠牲になり、その中には子供も多数含まれているようです。

今、現在。この時間に、ベッドの下に隠れて、家の外で聞こえる銃声に怯え、爆撃の轟音の中で、耳を塞ぎながら、その音の過ぎ去るのをじっと待っている子供たちが、世界中にいるのです。

人が人を殺す行為。戦争は多くの人の命を一瞬のうちに奪います。
どんな兵器を使っても同じでしょう。核兵器でも、化学兵器でも、何でも良い。
殺す相手は、子供でも。
私たちは、人間らしさを、どうして失ってしまうのでしょうか?

さて、日経新聞2018年1月19日朝刊に、同社コメンテーターの和田浩之氏のオピニオンが掲載されています。

「米国は北朝鮮を攻めるか」という表題です。

平昌冬季五輪が終わると、危機が再び高まるという予想です。軍事圧力を用いた北の核に対する抑止策を取るか、先制攻撃を辞さない方法を選ぶか。先制攻撃をめぐる賛否がほぼ五分五分だとしています。

米国が北朝鮮を殲滅するのに要する時間と、北が日本や韓国に攻撃を加えるのに要する時間と、どちらが早いかが焦点となりそうです。そのような計算がなされつつあるということです。

米国は、北朝鮮をどのような兵器を使って攻撃するのでしょうね。米国は、日本の防衛のために、どんな兵器を使ってくれるのでしょう。
韓国内に生じる犠牲者の数はどれほどでしょう。日本は?

このような犠牲の数と、米国の利益の考量がなされるでしょう。

ところで、トランプ大統領は、アメリカ・ファーストですよね(^_-)

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