中国の法律2017年10月31日 01:45

今日はジムに行ってきました。
簡単なウェイトトレーニングの後、20分のバイクと30分のウォーキングandランニングをして、風呂に入って帰りました。(^。^)

さて

中国は現在、猛烈なスピードで法律を制定・整備しています。
筆者は中国法の専門家ではないので、情報が少し古い可能性がありますので、その点、注意してください。

前提として、社会主義・共産主義は、法と国家の消滅を究極の目的としています。プロレタリアートが最終的に勝利して、社会構成員の全てが平等で、幸福であれば、法も国家も不要だからです。

中国は、プロレタリアート革命によって、社会進化の一つの段階として、一党独裁の中央集権国家となったわけです。法も必要最小限で良いはずでね・・・。従って、法はあまり顧みられなかったのです。

経済解放後、相当早い段階で作った法律が、独占禁止法です!
背離です。社会主義国なのだから。事業は全て国家が行うので、企業があるとすれば、全て、国営独占企業であるはずです。
中国独占禁止法の立法趣旨は、社会主義市場経済の健全な発展です!?
このニュースに接し、社会主義市場経済とい造語を見て、あまりのパラドックスに失笑したのを、覚えています。

次に、やはり早い段階で、民法を制定し、物権法で土地所有権を認めました!
社会主義国なのだから、土地は国家のもの、全人民の共有物のはずだから、個人の土地所有は背理です。
実際、(経済の)社会主義の時代には、全ての人々が国家から土地を借りていました。

法の観点から見ても、現在の中国の経済体制は、資本主義です。

この点、ソ連が崩壊した後も、同様の事が起こりました。しかし、ソ連の場合、反革命があり、社会主義政府が倒されました。理屈が通りますね。中国の場合、社会主義政府の下で、社会主義と資本主義を単純にくっつけたので、理屈がない、合理的説明がつかないように見えます。

中国専門家でもないのに、乱暴な言い方かもしれませんが、中国は西欧的合理主義が通用しない場合が一般的にあるようです。こういう理屈はどうでも良いのでしょう。悩みがない。

なぜ、法の整備をそんなに急ぐののか。

まず、考えられるのは、資本主義としての経済発展に欠かせないからです。同義なんですが、対外通商が発展し、西欧諸国(日本を含む)の政府・企業と上手く付き合ってゆくために、どうしても法が必要だったからです。西欧諸国は法による規制の透明性、結果の予測可能性を求めます。法の言葉で説明しないと理解しません。

そして、驚くことに、中国には、少なくとも2〜3年前までは、労働法が存在しませんでした。労働争議が頻発し、社会問題化しました。それでも労働法は作ろうとしません。社会主義国は労働者の国だから、労働者保護のための法律は不要なはずだからです?

次に、中国の三権分立についてです。
中国にも、立法府、行政府、裁判所の区別があります。
しかし、中国共産党幹部が立法府、行政府、裁判所、政府系企業の要職に着き、あるいはいずにせよ党幹部の息のかかった者が多いそうです。党の決定に決して逆らわない体制であり、三権の独立、均衡と抑制のシステムとは程遠いのです。

外国が、「法の解釈は裁判所がするので、政府としては如何ともし難い」という、西欧法型システムでは当たり前の説明をしても、中国には理解されないことがあります。逆に、中国からすれば、裁判所は政府の言うことを聞くはずだから、その国が言い訳をしていると思われる可能性があります。

今の中国は、よく知られているように、経済格差が極端です。内陸部の貧村と沿岸部の富裕層の格差はひどいです。内陸部から沿岸部へ向かう、夥しい数の季節労働者(出稼ぎ)があり、この労働力が中国経済を支えているのです。

それでも全体として、超高度経済成長を達成して、国家の経済力(GDP)はアメリカに次いで世界二位となりました。資本主義社会にある「矛盾」の塊でしょう。

一党独裁と建前としての社会主義の下で、資本主義経済の発展があり、しかも、社会主義国特有の官僚主義を免れていない。独占禁止法はあっても、結局、政府系企業の寡占状態を回避していません。

この社会矛盾は、中国市民の大きな不満を惹起して当然です。その不満のはけ口として、日本という国や外国企業が使われているのは有名ですね。言論を封殺し、反政府運動を力によって押さえつけている。どうにもならなくなったら、市民が蜂起して一党独裁政府を倒して反革命を達成するかもしれません。

中国主導で一路一帯経済圏を形成しつつあります。すなわち中国よりヨーロッパに至る陸のシルクロードと海のシルクロードの、通過国への資金援助と中国企業の投資により、この間にある開発途上国のインフラ開発援助を積極的に行うとするものです。中国の影響力を高め、経済的覇権をこれら地域に確立する試みでしょう。

独裁政府の率いる資本主義国家が覇権主義に陥るとどうなるのでしょうか。核保有国である軍事大国です。

しかし、いたずらに心配を煽るつもりはありません。経済関係の深い国同士で戦争は考えにくいからです。商売のお得意さんと喧嘩しても何の得もない。

一応、日本もその言葉を理解する、西欧型法システムの言葉が通じにくい国でも、前述したように、西欧や日本に倣った近代的・現代的な法を整備しつつあります。WTOなどの多国間条約にも加盟している場合も多いです。

現行の多様・多角的な国際共同体に組み込まれている限り、そんなに無茶をしない。これら国際的フォーラムを通じて、共通の価値観を持ってもらう粘り強い努力が肝要でしょう。

エージェント・オレンジ2017年10月31日 14:53

昨日、近くにできたベトナム料理店で、フォーを食べてきました。昔から好きで、新しい店を見つけると食べに行きます。米粉でできた細いうどんです。

さて、今日のテーマです。

「エージェント・オレンジ」って何でしょう。

どこかの国のスパイのことでしょうか。

違います。

ベトナム戦争のときに、アメリカ軍が撒いたダイオキシン薬剤の総称です。枯葉剤作戦です。
枯葉剤を空中より広く散布して、ベトナムの土地に作物が育たないように、全土を不毛の地にしようとしたのです。

ダイオキシンという有毒物質は、人体に大きな影響があることが知られていますね。実際に、ベトナムにおける散布地域において、多くの民間人に、薬剤の影響と考えられるような特有の疾病や新生児の奇形が多発しました。

筆者は、以前、エージェント・オレンジ事件という大規模なクラスアクションを研究したことがあります。アメリカ国内で生じた集団訴訟です。従軍した米国市民やベトナムを含む多くの国々からの被害者が原告となりました。アメリカの大規模クラスアクションというのは、日本では考えられないような膨大な人数の原告を包摂するものです。いずれ紹介したいと思います。

話を元に戻します。

シャム双生児として産まれた、ベトちゃんとドクちゃんの話を覚えていますか?若い人は知らないかもしれません。

戦後に生まれたベトナム人の2人を、何とか、普通の生活ができるようにしてあげたい。

日本の病院で、2人を切り離す手術をしたのです。1人は自立して生活ができるようになったのですが、もう1人はうまくいきませんでした。

ベトナム戦争というのは、社会主義を標榜するで北ベトナム政府と資本主義政府である南ベトナムの統一戦争です。本来内戦であったものですが、諸外国の介入を受けました。特に、アメリカが軍隊を送り込んで、本格的な介入を行ったことは有名ですね。結局、北ベトナムが最終的に勝利し、統一されたベトナムは社会主義国です。

アメリカが戦争で負けた。不敗神話が壊れたアメリカの社会にとって、ベトナムが大きな心の傷となりました。それが多くの映画を生み出した原因でしょう。アメリカ国内に多くの退役軍人・傷痍軍人が現在も暮らしています。その人々がアメリカ社会の痛みの象徴なのです。

社会主義国は、実際に、非常に多くの人にとって生活に困らない、競争のない平等な社会を実現した側面もあるようです。ロシアやドイツの、社会主義を標榜する政党(極左とも呼ばれる)が一定の支持を受けているのは、その時代の方がましだったと感じる貧しい人々がいることを示しています。しかし、同時に、社会主義を維持するための、社会統制の側面が問題となります。高度に国家管理され、言論の自由が封殺される。結局、官僚主義国家として、一部の者に利権が集中した。競争のない社会に、技術的、社会的なイノベーションが起こりにくい。もっとも、そういう豊かさを求めるべきかについて、議論の余地はあるでしょう。

ベトナムは、先に述べたように社会主義国ですが、どうやら経済は解放的であるようです。資本主義国の援助・投資を積極的に受け入れ、経済開発を進めています。日本企業も、中国、インドネシア、タイに次いで、ベトナムに進出している例があります。将来有望な市場として、あるいは製造拠点として。また、少子高齢化社会である日本が、ベトナムから多くの人を労働力として受け入れています。勤勉で真面目な国民性は、昔の日本人を思い出させるようです。

ところで、ベトナム戦争は、何度も映画化されています。ハリウッドの好む題材の一つでした。
筆者のお勧めは、プラトーン、フルメタル・ジャケット、そして帰郷です。帰郷は、1978年のアメリカ映画の方です。ジェーン・フォンダが主演です(個人的好みですが、この映画のジェーン・フォンダはとても良いです。)。

くどいようですが、筆者は、反共、反中国、あるいは反米というような、教条主義的な思考様式を持っていません。ヘイト・スピーチで無い限り、民族主義的主張も、言論の自由の範囲内で許されると言うべきです(筆者が民族主義に反対ですが)。以上は是非とも前提して下さい。